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マンジャロでインスリンを卒業できた患者さんが出てきています。

[2023.11.10]

50代の男性、単身赴任で他院から紹介の方です。当初インスリン4回打ちでSGLT2阻害薬、αGIを併用していました。7月初診時HbA1c7.4、BMI24.6、体脂肪率21.4%でした。食事療法、運動療法を頑張る方でしたが血糖が横ばいで悩んでいました。内因性のインスリン分泌がある程度保たれていたのを確認しマンジャロ導入し5mgまで増量しインスリン漸減、中止し、血糖値は悪化せずHbA1cが改善傾向でしたので、αGIを中止し経過を見ました。食欲が抑えられた結果体重が順調に減量しそれに伴い血圧が低下したため降圧薬2剤も漸減後、中止して血圧は120前後で安定しました。10月にHbA1cが6.2、BMI22.0、体脂肪率18.4%まで改善しましたが、体重減少が止まらないためSGLT2阻害薬を中止し食事摂取を促しようやく体重減少が止まりました。最終的に9%の減量でマンジャロ5mg単剤で糖尿病のコントロールをしています。マンジャロのお陰ではありますが、この方は食事、運動に気をつける方であった事もインスリンを卒業できた大きな要因と考えます。1型糖尿病はもちろん高齢、痩せ型、糖尿病罹患歴が長い方、HbA1cが10以上の方はインスリンを続ける必要があります。無理にマンジャロに切り替えると糖尿病性ケトアシドーシスを発症する可能性があります。すべての方がマンジャロの力でインスリンを卒業できる訳ではなく症例を見極めなければなりません。

当院は比較的コントロールが良好な患者さんが多いことが主な要因ではありますがSURPASS J-mono試験の結果と同じくマンジャロ5mgで90%以上がHbA1c6.5未満を達成しています。体重減少も90%以上の患者さんで認めますが、しかし10%程は全く食欲に変化がなく体重減少を認めない方もいらっしゃいます。しかしながらHbA1cは減量とは関係なく低下します。

この薬が発売された当初、インスリン、CPAPの卒業が叶う待望の薬が出てきたと想像し、興奮していましたが、実際インスリンを卒業できた患者さんを経験し、現在、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を合併する2型糖尿病患者さんのCPAP卒業に向けて取り組んでいます。ウゴービ発売後は非糖尿病の閉塞性無呼吸症候群合併のメタボリック症候群の患者さんのCPAP卒業に向けて取り組む方針です。ウゴービはクリニックレベルでは処方できないことが確定しました。

この薬の可能性を強く感じています。恩恵を受ける患者さんは満足度も高く、私も非常にやりがいを感じます。

当院は訪問診療が本業ですがマンジャロ、ウゴービを始めとする今後も続々と登場するGLP、GIP関連の非常に強力な新薬の出現で今後10年はメタボ、肥満関連疾患の治療に対しての需要が大きく高まることが見込まれ、その需要を満たす必要があるためマンジャロ、メタボダイエット外来を開設しました。循環器専門医、総合内科専門医、糖尿病認定医として専門性が発揮できる領域です。

恩恵を受ける患者さんのQOL、生命予後の改善やそれによって将来の医療費が削減されることで政府の財政にもよい影響を与える可能性や、なにより患者さんの健康、医師としてのやりがいを感じるため今後もマンジャロの処方に積極的に取り組んでいます。

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